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インターハイ中止決定⁉︎かつての王者が語る想いとは。

4月26日の18時、高校生アスリートたちにとって衝撃のニュースが流れた。

『全国インターハイ中止決定。57年の歴史で初の中止。』

 

そのニュースが流れた直後から、SNS上では高校生アスリートたちが悲痛な心の叫びを発信している。

Twitterでは高校総体に関するツイートがトレンド入りした。それほどに高校生たちにとっては衝撃的なニュースだった。

「今までの努力をどうしてくれるんだ。」

「せっかく頑張ってきたのに死にたくなる。」

 

SNS上では、高校生アスリートたちのインターハイ中止に対する絶望感や憤りがいたるところに見られた。

高校生たちにとって、インターハイとは一体どんなものなのだろうか・・・

その答えを知りたくて、かつてのインターハイ王者を取材をした。

取材に応じてくれたのは矢野昌幸。かつてのインターハイ王者だ。

兵庫県立社高校の陸上部に在籍していた2004年の全国インターハイの男子400mリレーで全国制覇を経験している。高校の頂点を極めた彼にとってインターハイとはどのようなものだったのか。そして、インターハイ中止に対しての今の思いとは...

 

Q.インターハイ中止の話を聞いて率直にどう思ったか

残念としか言いようがない。それを目標としてきた高校生たちにとっては非常に辛いことだと思う。しかし、コロナウイルスのこともあるし、命が最優先だ。だからこそ、言い表せない感情だ。

Q.自分にとってインターハイとはどのようなものだったか

インターハイは高校2年生までは自分がいけるとは思っていなかった。行けたら良いな、くらいの思いだった。しかし、高校2年生の冬場の厳しい練習を乗り越えて大幅に記録が伸びた。それもあって全国インターハイのリレーで優勝することができた。そのおかげで人生の進路も大きく変わった。

Q.人生の進路が大きく変わったとはどのようにですか

もともと消防士になろうと思っていた。だから、陸上は高校で辞めるつもりだった。それがインターハイで優勝したことで大学でも陸上を続ける気持ちが湧いてきた。大学に入ってからは先生に教えてもらうではなく、自分自身で練習について考えるようになり人間的にも成長することができた。インターハイがあったからこそ自分は大学で貴重な4年間を過ごさせてもらうことができた。全国優勝がなければ大学にも行かなかっただろうし、陸上もここまで続けていなかっただろう。インターハイは自分を大きく変えてくれた。

Q.インターハイ中止が決まった今、高校生たちに対してどう思うか

今は悔やんでも悔やみきれないと思う。これで引退してしまう人もいるだろう。その子たちにかけてあげられる言葉を選ぶのは難しい。しかし、高校生にとってインターハイは確かに大きな位置づけではあるが、インカレや県選手権などに出続けることはできる。やれることがないわけではない。選手たちはそれに向かって頑張るしかないが、高校生ひとりでできることは限られている。周りの大人がサポートすることが重要。

Q.どんなサポートができますか

私のようにインターハイでの成績が認められてスポーツ特待生や体育系の大学に行く選手もいるが、今年に限っては、そういう選手の力の見極めが難しくなってくる。スポーツにキャリアを委ねていた選手たちのサポートができるのは、大学や企業、そして社会。何より高校生たち自身が一番不安があるから、それを大人たちが仕組みでサポートすることが大事。それができなければ、強い選手が埋もれてしまう可能性もある。プロスポーツ選手のスカウトの場でもある高校総体。それがなくなることでキャリアが崩れることもあるうる。そこのケアが重要だと思う。

Q.インターハイ中止のことも含めて今の世の中をどう捉えているか

ある有名選手が「コロナウイルス関係で最初に切られる可能性があるのがスポーツ。今の日本ではそれが現状。でも、それを回避したい思いが強い。」という発信をしていた。スポーツを仕事にして生きている人もいる。また、スポーツを楽しみに、生きがいにして過ごしている人もいる。そういう人たちの活躍の場がなくなるのは悲しい。世界レベルの選手が、家の前の道路で軽く練習する程度しか活動できていないということも聞いている。命が最優先だが、埋もれてしまう才能もあるかと思うと悲しい。あるサッカークラブチームが億単位の赤字が出ていると聞いた。社会でスポーツを守っていくことが大事だと思うが、それもどうして良いかはわからない。

Q.今できることとは

こうなってしまった以上、その上でやるべきことをやるしかない。アスリートのデュアルキャリアの育成が大事だと思う。今回のことのように突如、スポーツの活躍の場が失われることがある。その時にできることを準備しておくことが大事。スポーツに没頭するだけでなく、多くのことを学ぶことが重要だと思う。

 

彼の言葉で印象的だったのは、「大人や社会、大学、企業が選手をサポートして行かなくてはならない」という言葉だった。

この文章を読んだ大人たちはぜひ、選手たちをサポートしてあげて欲しい。

プロフィール (写真左が矢野 右は親交の深い藤光謙司氏(2017年世界陸上400mR銅メダリスト))

矢野昌幸

陸上競技クラブGrowth代表

兵庫県立社高校、同志社大学出身。 中学時代は卓球部所属で陸上経験なし。高校から陸上競技に取り組み一気に才能を開花させ、高校3年時の2004年全国インターハイの男子400mリレーで優勝。全日本インカレ100m4位。自己ベストは100m10秒42、200m21秒00。現在は沖縄県にて陸上クラブ代表。

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