
「志を共有するWEBマガジン 8CROSS」さまより提供していただきました。
もくじ
株式会社INTERPLAY 代表取締役 石橋大治

1968年2月19日 富山県出身。富山県立呉羽高校から富山大学教育学部に進学。大学卒業後は証券会社王手、野村証券に就職。3年後に伝説のホイールメーカー株式会社カービングに入社。神戸営業所長として働くが、会社が倒産。その後、ご縁で神戸のアパレルメーカーに就職し、その経験を生かし2018年に株式会社インタープレイを興した。
徹底的なこだわりを持つアパレルメーカー、INTERPLAY

Q まずはじめにINTERPLAYの会社紹介をお願いします。
私はコンセプトにこだわった高品質な洋服づくりをするべく、INTERPLAY(インタープレイ)を立ち上げました。ST.ROONEY(セントルーニー)というブランドを展開しており、「150cmの小柄女性」をターゲットとした商品の開発・販売をネットショップ中心に行なっています。社名の由来は、私が一番好きなジャズピアニスト、ビルエヴァンスが作った言葉で、JAZZの用語です。JAZZというのは、始まりと終わりは決まっているけど、実は基本的にはアドリブなんです。セッションの中でプロフェッショナルが集い、一曲の芸術を作り上げる。それをインタープレイと呼びます。パタンナーいて、デザイナーがいて、モデルさんがいて、お客さんがいて、自分がいる。そんなプロのJAZZバンドが作り上げる作品のようなブランドでありたいという思いを込めています。会社ロゴは、私の好きな自動車メーカーのケーターハムのエンブレムの字体に似せてデザインしています。
Q ブランド名に秘められたこだわりを教えてください。
私はハリウッド女優のルーニー・マーラという女優が好きなんです。マーラの演技の振れ幅がとても広く、おしとやかな役から派手でファンキーな役など様々なパターンの演技を器用にこなすんです。私はその姿に魅了されました。また、ルーニー・マーラが出演していた映画の中で最も好きな作品が「ドラゴンタトゥーの女」なのですが、その映画は小さな女の子にフォーカスを当てたものでした。それらの理由からブランド名をST.ROONEYとし、ターゲットを148cm〜152cmの小さな女の子向けにしました。とにかく自分の好きなものを沢山詰め込んでいるのです。
以前働いていた会社が倒産。自動車業界からアパレル業界へ。

Q 以前は自動車業界で活躍されていたようですね。
はい、アパレル業界の前は自動車業界にいました。本当は学校の先生になりたかった私は大学時代に教員免許を取得しました。しかし、いつの間にか野村証券の営業マンになっていたのです(笑)その時の飛び込み営業の仕事の最中に、私の人生を変える出会いがあったのです。それが私が以前働いていた自動車のホイールメーカー、カービングの佐藤孝紀社長でした。私が佐藤社長の会社の玄関を開け、元気良く「こんにちは!野村証券ですっ!」というと、「証券会社に用はない。帰れ!」と言われたのです。しかし、その玄関先に置いていたタイヤの話をきっかけに、心を開いていただき、お話をすることになりました。その後佐藤社長のアプローチがあり、野村証券を退社し、カービングで働くことになったのです。
Q アパレル業界との出会いを教えてください。
実は、私の働いていたカービングが銀行の貸し渋りにより黒字倒産してしまったのです。仕事に人生の情熱を費やしていたので、ショックですぐには働こうという気持ちにはなれませんでした。毎日JR芦屋駅の周辺を歩き、どうしようと考えながら洋服店を眺めていました。そうしていたら、以前の会社でお世話になっていた会計士の方からアパレル関係の会社をご紹介いただきました。私はチャンスだと思い入社を決めました。それが私とアパレル業界の出会いです。
ターゲットを「150cmの小柄女性」に絞るバックグラウンド

Q 「150cmの小柄女性」をターゲットにする理由はなんですか?
私はホイールメーカー時代から「狭い市場」というものに魅力を感じていたのです。私はアパレルメーカーに入社後、すぐにオンラインショップをオープンしました。それまではパソコンもろくにいじったことがなく、Excel程度しか使えませんでしたが、なんとか頑張ってオンラインで販売を始めることができました。当時はネット通販がメジャーではなく、店舗が少なかったため毎月2000万円を売り上げることができました。しかし、ふと「普通に服を売っていてはダメだ!自分にはこだわりがあるんだ!」と思ったのです。過去の経験が私の背中を押してくれて、身長150㎝の女性のための洋服ブランドを立ち上げるに至ったのです。
Q 自動車業界時代にもターゲットを絞った商品開発を行なっていたのですか?
そうなんです。ホイールメーカーに勤めていた時代から、「マイナー」なものへのこだわりは強かったと思います。当時、スバルのレガシィ、インプレッサという車が流行っていました。しかしそれらの車種はホイールのサイズが特殊で、市場でも商品が限られているのが現状でした。そこに目をつけた私は、それらの車種だけに適合する専用のホイール、STARK MS(シュタークモータースポーツ)を開発して販売しました。誰も手を出さないけれど需要がある「狭いマーケット」に私は注目したのです。事実、その商品はヒットし、小さいながら成功を収めることができました。
独自の視点とこだわりを持ち、多くの小柄さんの味方になる石橋社長

Q 読者の方々へのメッセージと今後の展望を教えてください
身長155cm以上は、アパレルの認識では通常のサイズでカバーされます。身長170cm以上の方のサイズも海外ブランド等で多く販売されています。そこであえて、148cm〜152cmの「小柄な大人の女性のためのブランド」を立ち上げたのです。SNS等を利用して宣言し、わずか半年で100名を超える小柄な女性の方々に貴重なご意見や、ご協力をいただきました。皆さん住んでいるところもご職業も様々ですが、共通していることは、148cm〜150cmの小柄な女性であること、オシャレが大好きだということ。そしてもっと深い部分で皆さんが共有していることは、自分が着れるアイテムを容易に見つけられないということ、着こなすためあらゆる努力や工夫が欠かせないということなのです。
私たちが送り出すプロダクトで多くの笑顔をお届けしたいと思います。 特別な1日をより素敵に彩る。ST.ROONEYはそんな瞬間のお役に立ちたいと考えます。
Q 石橋さんの志を一言で表すと•・・
今まで聴き取られてこなかった小さな声にも耳を傾けて、皆さんの想いや願いをプロダクトという形にしていきたいです。
編集後記
小柄さん向けアパレルブランドで検索をかけてみると、いくつかの会社が開発・販売に取り組んでいました。しかし、それらはターゲットが身長155cm以下までを対象としています。しかし、155cm以下というのはそんなにマイノリティではないのです。ターゲットの幅を絞り、少しの妥協も許さず、こだわり抜く。ST.ROONEYこそがニーズに合うアパレルブランだと思います。石橋さんの武器は情報の量と質です。過去の経験と豊富なデータに基づいた商品の開発・販売を行うことで彼はどんな業界でも確実にヒット商品を打ち続けてきたのです。安打製造機と呼んでもいいかも・・・?(笑)