実は陸上競技を引退する予定だった⁈バレーボールから陸上競技への転向
―迎選手が陸上競技を始めたきっかけを教えてください
本来は陸上競技をやる予定はなかったのですが、学生時代に陸上部に所属していた父の勧めで陸上部に入部しました。陸上に取り組むまではバレーボールをやっていました。中学で陸上は辞めようと思っていたのですが、陸上きっかけで最高の仲間と出会うことができ、いつのまにか大学生になった今も陸上競技に取り組んでいました。まさかここまで続けているなんて、自分自身でも驚いています(笑)
―いつの間にか大学生まで陸上競技を続けていたということですが、どのような点に魅力を感じますか?
自分が努力をした分だけ記録として返ってくるところが最大の魅力です。練習をしっかりと積んだ場合と、積んでいない場合とでは記録に大きな差が生まれたように思えます。そのため、他スポーツと比べて自分の行いが結果に結びつきやすいスポーツなのではないかと思います。
ピンチをチャンスに。近畿大会出場をかけた自分との戦い
―今までで一番印象に残っている大会はなんですか?
高2の兵庫県ユース大会は印象に残っています。ベスト8に残り、5投目終了時点までは3位と近畿ユースに進むために必要な順位をキープしていたのですが、最後の投擲をする直前に、自分の一つ前の選手に記録を抜かれてしまい、かなり動揺したことを覚えています。しかし、全神経を研ぎ澄ませ、逆転して近畿ユース出場権を獲得した時は本当に嬉しかったです。また、同大会ではやり投げにおいても3位に入賞し、2種目での近畿ユース出場を決めることができたのでとても印象に残っています。
―砲丸投にも投げ方がいくつかあるそうですが、迎選手は投法にこだわりがありますか?
これまでは、日本の砲丸投げはグライド投法が主流でしたが、ここ数年で回転投げが浸透してきました。現在ではグライド投法で作られた日本記録も、昨年回転投げの選手によって塗り替えられ、私も大学の監督の勧めでグライド投法から回転投げに転向しました。まだまだ、日本の砲丸投げ選手はグライド投法が主流ですので、これからは各試合で良い記録を出し、回転投法をもっと広めていけるような選手になりたいです。
投擲とハードル選手という二つの顔を持つ迎選手。世界大会を経験した高校の同期、北谷直輝の存在とは
―かつて砲丸投げとハードルという正反対の2種目に取り組んでいたそうですね
そうなんです(笑)中2に神戸市のスプリントトライアスロンという大会で四種競技(110mH,砲丸投,走高跳,400m)に出場し、初めてハードルを経験しました。その時のタイムは19秒台というタイムだったと思います…そして、中学3年時の地区総体にて思い出作りのために専門種目の砲丸投げに加え、ハードルに出場するとまさかの3位に入賞することができたのと同時に、県大会の参加標準記録を突破することができたのです(笑)その後の県大会でも大幅に自己ベストを更新して、準決勝に進出しましたが、後の全国中学チャンピオンの西森龍馬(播磨西中、現大阪体育大)と同じレースを走ることになり、ボコボコにやられてしまいました。それも今となっては良い思い出です!たらればの話にはなりますが、中学1年から本格的にハードルのトレーニングをしたならば、もっと上の大会に進出していたかもしれません…(苦笑)
―神戸科技高時代の同期、世界大会を経験した北谷選手(現、東海大学)の存在について
北谷とは中学校からの知り合いでした。と言いましても、高校の練習に参加した際に少し話をしただけですが(笑)入学後は互いに記録が向上し、近畿大会にも一緒に出場したりと種目は違いますが切磋琢磨する関係だッタト思います。でしが、高2になり北谷が急成長しだし、どんどん離されていきました。しかし、その悔しさがあったからこそ自分も同じ舞台で立てるように頑張ろうと思えました。日々の練習に熱心に取り組むことができていたと思います。ですが、北谷の進化は止まらず、高3時のU18世界選手権の400mでは8位に入賞し、世界選手権直後の岡山インターハイでも4位に入賞するなど輝かしい成績を残しており、チームメイトとしても友達としても誇らしく思いました。私は高校の時は全国大会に出場することができず、北谷と同じ舞台には立てませんでしたが、来年こそは全国インカレに出場し、同じ舞台で戦えることを密かな目標にしています。
誇れる同期と同じ舞台へ。迎選手の志とは
―感謝の気持ちを伝えたい人はいますか?
なんといっても両親には感謝しています。誰よりも自分のことを応援してくれる存在で、試合でいい結果が出た時は自分よりも喜んでくれます。結果が悪かった時にも「自分のペースで頑張ればいい」と励ましてくれます。また、遠征費やシューズ代、治療費などの高額なお金を負担してくれているおかげで、今もこうして競技を継続することができています。大学での陸上生活も残り1年しかないので、来年こそは全カレに出場し、好成績を残したいと考えています。それが両親への親孝行だと思っています。
―そんな迎選手の志とは
私の志は、「常に目標を持って人生を歩むこと」です。陸上競技においても、練習メニューの一つ一つに目標を立てることを大学に入ってから大切にしています。中・高の時は顧問の先生に出された練習をただ単にこなすということしかできませんでしたが、それでは大学では伸びないと思い、意識を変えて目標を立てることにしました。まず、アップのメニューなどでは意識しなければならないところを頭の中で考え、それをきちんと行うという目標を立てて取り組んでいます。そうすると走り方や、力の加え方が変化し、投げ自体も当方は違いますが、随分修正されたように思います。目標を立てることがその後の人生へと直結していると考えます。
編集後記
私と迎さんの出会いは、中学2年生の時のTwitterでした(笑)僕が様々な人と繋がるために、DM(ダイレクトメール)を送りまくっていた記憶があります。迎さんの最初の印象は「なんでもできる方」でした。その後、少しずつ仲を深め、同じ学校の後輩のように接して下さるようになり、プライベートでの交流も深めました。投擲選手よりも、短距離選手と仲良くしているイメージのある迎さんですが、専門の砲丸投に関しても多くのことを考えており、ストイックな選手です。地元兵庫を離れ、岡山で活躍する迎さんを陰ながら応援させていただいています。これからも頑張ってください!