「医療とスポーツの架け橋になりたい」スポーツファーマシストとして活動する岡崎さんが伝えたいコト

「医療とスポーツの架け橋になりたい」スポーツファーマシストとして活動する岡崎さんが伝えたいコト

2023.10.14
2023.10.14
インタビュー

みなさんは「スポーツファーマシスト」という言葉を聞いたことはありますか。

近年、ドーピング問題が叫ばれていますが、実際に選手の弁解で「ドーピングにならないと思っていた」なんて言葉もよく聞くでしょう。
それらは必ずしも選手が「故意に」というわけでなく、誤った使用によってドーピングに引っかかるケースもあるのです。

そのような悲しい結末を防いでくれるのがスポーツファーマシストです。

スポーツファーマシストについて

スポーツファーマシストは「薬剤師」の資格を持つ方が、(公財)日本アンチ・ドーピング機構が定める所定の課程終了後に認定される資格制度です。

アスリートやスポーツ選手、コーチ、スポーツ医療の専門家と協力して、スポーツパフォーマンスの向上、怪我の予防や治療、健康管理に関連する薬物についてのアドバイスやケアを提供する「スポーツ選手専門の薬剤師」さんということです。

今回は、薬剤師でありながら「陸上競技選手」専門のスポーツファーマシストとして活動を行う岡崎優衣さんにお話を伺いました。
彼女がスポーツファーマシストとして活動する原動力をご覧ください。

岡崎さんと陸上競技の出会い

カメラを持ち試合の写真を撮影する岡崎さん

岡崎さん-私は大分県の出身で、元中学体育教諭で大分県の高校陸上部コーチの母の影響で幼少期から陸上競技との関わりがありました。

シーズン中は不在がちな母でしたが、母と共に競技場に行けば「おやつをもらえる!」と思い込んでいたので、幼稚園時代からよく陸上競技場に通ったことが記憶に残っています。

その後、小学生から中学生にかけて陸上をかじり、高校生になっても「大分国体の補助員がしたい!」という想いだけで一瞬陸上部に入部しました(笑)

そんなわけで、無意識のうちから陸上競技と関わっていたので、陸上競技が心の原風景になっています

スポーツファーマシストの道へ

岡崎さん-父が整形外科医だったこともあり、幼い頃からなんとなく医療系を志していました。

元々は研究職を志望していたのですが、大学時代の実習を経て「患者さんのそばで少しでも力になりたい」という思いから薬剤師を目指すようになりました。

大学在学中に経験した地元薬局での実習期間や、日々食卓で繰り広げられる整形外科医の父と陸上部コーチである母の会話から「私も薬剤師としてスポーツ選手の力になれることがないのか」「薬剤師だからこそできることがきっとある」と思い、スポーツファーマシストになることを心に決めました。

その後、地元大分から東京へ上京し、調剤薬局や病院勤務を経て薬剤師となり、現在は都内中心にスポーツファーマシストとして活動しています。

【スポーツファーマシスト豆知識】

世界的にも「アンチ・ドーピング」の流れが強くなったことから、2009年に国内でも、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)により「公認スポーツファーマシスト認定制度」がスタートしました。
ちなみにスポーツファーマシスト制度があるのは日本だけなのです。

スポーツファーマシストを広げる手段としての「カメラ」

岡崎さん-スポーツファーマシストとして、アスリートから「ドーピング禁止物質ではないか」のチェックやサプリメントやプロテインの使用について、体調相談に乗ったりしています。

実際に選手からも「優衣さんのおかげで助かりました!」などと感謝されることが増えてきて、活動にやりがいを感じています。

世の中には潜在的にスポーツファーマシストを必要としている選手が多いと思います。

しかし、まだまだスポーツファーマシストの認知度が低いのが現状です。

そこで私はスポーツファーマシストの認知度向上の手段としてカメラを片手に、日本全国の試合を訪れ、選手の競技風景を撮影しています。

100m/200m:山中日菜美選手(滋賀陸協所属)
やり投げ:武本紗栄選手(Team SSP 所属)

撮影した写真を選手に提供し、各選手がSNSで投稿する際に「Photo by 〜〜」やタグ付けをしてもらうことで、私のアカウントへの流入動線を作り、活動を知ってもらいたいと思っています。

認知度向上のため、というのもそうですが、素直に「陸上競技で活躍する選手の勇姿を撮影したい!」「色々な種目の魅力を伝えたい!」という気持ちもあります。

走幅跳:山川夏輝選手(Team SSP所属)

実際、撮影した写真を各選手にプレゼントすることで、モチベーションが上がる選手もおられますし、なにより選手が全力で試合に臨む姿を陸上ファンに届けることができることができて「カメラを買ってよかったなあ」と思っています。

100m/200m:白石黄良々選手(セレスポ所属)

かかりつけ薬剤師として提携する陸上競技選手

岡崎さんは実際に「かかりつけ薬剤師」として、陸上競技選手を中心に連携を始めています。

滋賀陸協所属で、100m/200m短距離選手として活躍する山中日菜美選手がその一人です。

 

 

モデルにYoutube! マルチに活動する山中日菜美選手に直撃インタビュー

今後の展望について

まず大前提として、今後もスポーツファーマシストの認知度を上げていくために、SNSを通じた発信や試合に観戦しに行き、選手の撮影や直接コミュニケーションを継続して行います

パラT64 100m/200m:井谷俊介選手(SMBC日興証券所属)

その上で、潜在的なスポーツファーマシストを必要としている選手を発掘し「病院に行くほどではないかも。。」といった些細な相談でも気軽に話してもらえる窓口になりたいと考えています。

その先のフェーズとして、スポーツを見ている・楽しんでいる層にも、体について知っていただき、予防医学に繋げていきたいと考えています。

十種競技:丸山優真選手(住友電工所属)

そこで、スポーツ選手と共にフレイル予防の会を行い、持病があってもスポーツを楽しむことができるようにサポートしたり、一緒に楽しみながら、ご自身の体にも興味を持っていただける世界線を作っていきたいと考えています。

私の経験をもとに、出会った一人でも多くの方が、健康で元気に楽しい生活を送れるようになったら嬉しいです。

編集後記

今回、スポーツファーマシストとして活動する岡崎優衣さんにお話をお伺いし、陸上競技を支える層が分厚くなっていることを実感しました。
スポーツの「する」「みる」「支える」の「支える層」が厚くなることで、「する」層のモチベーションアップや競技力の向上に繋がってゆくのだな、と思います。

岡崎さんには、これから医療サイドとスポーツ選手サイドの双方の手を繋ぐ、まさに「架け橋」の存在になっていただきたいです。

この記事を通じて、スポーツファーマシストという素晴らしい活動を知っていただけるきっかけになればと思います。

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INTERVIEWEE

岡崎優衣

岡崎優衣

スポーツファーマシスト
大分県出身。
現在は東京都内の薬剤師として従事。
スポーツファーマシストの資格を元に、陸上競技選手を中心にアスリートのかかりつけ薬剤師として活動する。

WRITER

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佐藤 玄主

1999年11月20日 兵庫県芦屋市出身。市尼崎高校出身。 毎年1月10日に兵庫県西宮神社で行われる「開門神事福男選び」において1番福を獲得。 現在は、一般社団法人おんげんの代表として、日本文化を活用したコンテンツ造成や企業プロモーションに傍ら、リクゲキの運営に取り組む。