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天才少女”掛川栞”の栄光と挫折、そして見つけたもの(前編)

小学6年生で全国2位、中1のジュニア五輪で日本一になりましたが、その価値はよくわかっていませんでした。レースで同じ組の人に負けたくない、その思いで走り続けて気づいたら日本一になっていました。

そう語るのは掛川栞。愛知学院大学の4年生。陸上部が誇るスプリンターだ。

彼女の実績は輝かしい。アジアユース日本代表、全国大会優勝3回、準優勝2回。実に、小学5年生から中学3年生まで5年間、全国の頂点を決めるレースに立ち続けた。中学1年生で全国の頂点に初めて立ったが、当時のことを振り返り彼女は言う。

「小学校で陸上を始めた時から中学2年生までは全国大会で絶対に優勝すると言う強い気持ちがあったわけではありませんでした。陸上を始めた小学2年生の時、年上の子たちに完敗し泣きじゃくったのを覚えています。それから同じレースを走る子たちには負けまいと走るようになりました。全国大会とか県大会とか関係なく、ただ隣の人より速く走る。その思いだけでした。」

 

そんな彼女だが、中学3年時の全国中学総体にかける思いは並々ならぬものがあった。地元愛知での開催だったこと、愛知チームのキャプテンであったことなど様々な要素が彼女の「絶対に全国制覇する」という思いを駆り立てた。しかし、気負いすぎた面もあったのか全国大会の1週間前に身体に不調が起こる。そして迎えた全国大会。脱水症状もあり満身創痍の中、ギリギリで200mの決勝に進出。タイムも悪く決勝では1レーンからのスタートだった。最悪の体調の中、前半からフルスロットルで飛び出し、後半失速しながら何とか2位に食い込んだ。地元の仲間や先生、応援してくれた全ての人に申し訳ないと思った。人生で一番泣いた。悔しさを引きずったまま出場した翌日の100mではまさかの準決勝敗退。悔しさに暮れた愛知全中だった。落ち込む彼女に担任の先生がかけてくれた言葉に救われた。

勉強なんてどうでも良いから勝て!お前ならやれる!

受験生に対して「勉強なんてどうでも良いから勝て」と言える教師がどれだけいるだろうか。掛川との信頼関係があればこそ出た言葉であろうが、結果的にこの言葉が彼女を奮い立たせた。

「ジュニアオリンピックでは必ず全国優勝。それは大前提。200mで日本中学新記録を樹立する。」

 

その思いで練習に励み、ジュニア五輪200mにランキングトップで臨んだ。大会本番の決勝では向かい風の中24秒84で圧勝した。日本中学記録こそ超えることはできなかったが、2位に0.7秒差でぶっちぎりの優勝、そして愛知県中学新記録だった。加えてリレーでも全国制覇。最高の形で中学最後の試合を締めくくった。

その実績を提げて進学した高校では、中学の実績も考慮され日本代表に選ばれた。アジアユース五輪で5位に入賞した。

しかし、彼女はその後、忽然と全国の舞台からは姿を消す。個人種目では結果を出せず、高校3年の時には全国大会に出場はおろか100m13秒台にまで記録を落とした。

「私にとっての高校時代は闇でした。高校時代の写真もほとんど残っていません。」

 

中学時代のことを語る時の明るい笑顔からは一変し、神妙な面持ちでそう語った。輝かしい実績をもってむかえた高校生活で、彼女の身に一体何があったのだろうか。(続く)

掛川栞ヒストリー「栄光」

 

プロフィール

掛川栞

愛知学院大学 陸上競技部

愛知県豊明市出身 1998年10月28日生。豊明栄中学、安城学園高校出身で、現在は愛知学院大学の4年生。小学生時代より全国大会の決勝に進出、5年時5位、6年時は準優勝。中学時代にジュニア五輪にて、1年時に100mで優勝、3年時に200mで優勝。3年時にはリレーとの2冠を達成。翌年、アジアユース五輪の日本代表に選出され、アジア大会5位。100m12秒26、200m24秒84。

 

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