あの日仲間と見た景色を今度は個人で。13年続けてきた陸上への想いとは – 丸尾和誠

あの日仲間と見た景色を今度は個人で。13年続けてきた陸上への想いとは – 丸尾和誠

2020.05.03
2023.05.29
インタビュー

丸尾和誠(まるお かずあき)は、和歌山大学経済学部に在籍する400m/800mを専門とする陸上選手。幼少期から競技に取り組み、今年で13年目となった。
小学生の頃には短距離を専門としつつも、中学・高校と進むにつれ、400m、800mと種目を変えてきたその理由。そうしてなお結果を残し続ける秘訣を聞いてきました。

一番向いていると思ったのが陸上だった

ー 陸上を始めたきっかけは何ですか

両親がともに陸上をしていたからです。僕がものごころついたころもマスターズ陸上をしていました。僕の一番古い記憶はユニバーの競技場で親が競技しているところなんですよね。競技としての陸上を始めたのは小学校3年生の頃です。両親は様々なスポーツを経験したうえで自分に合ったものをやってほしいと思っていたみたいで、小学生の頃は、兵庫ジュニアスポーツアカデミーに所属していました。競技体験プログラムとして陸上以外のスポーツも経験しましたが、自分が一番向いているのは陸上だと感じました。

ー 13年も競技を続けているのですね!そんな陸上の魅力とは何ですか?

いろいろな人に出会えることだと思います。種目もいろいろあり、その種目ごとに練習の仕方や性格も異なることが面白いです。僕は陸上を通して人脈が広がりました。いろいろな人に会えることは僕のモチベーションにもなっています。上のステージに進めば進むほど、強い人に出会えます。自分が強くなればなるほど、強い志とぶれない自分を持った選手に出会うことができ、それが今後につながります。陸上をしていて出会った人の一人に姫路商業で同期だった吉田弘道君がいます。彼は3年間同じクラスで、大会の付き添いもしていました。チームのためにマイルを優先しながらも、個人の幅跳びでも結果を残す彼の強さに、自分も頑張らないと、と刺激をもらっていました。大学に上がって以降も立命館大学に進学し、全カレの頂点を目指し常に上を向いている彼を誇りに思っています。それと同時に、自分も結果を残したいと思えるような大切な仲間です。

頂点に立つために勝負できる場所を追い求めてきた

練習で何か意識していることはありますか?

いろいろなことに挑戦し、練習を楽しむことを心がけています。しんどいメニューの時ほどいかに楽しめるか、楽に走れるかを考えて取り組んでいます。僕は我慢強いほうではないので練習では120%の力を出し切ることではなく、80%の出力で100%の力を出せるよう意識しています。練習でそれができれば、試合では100%の出力で120%の力を発揮できると思います。しんどいと感じたら、どうすれば同じ質の中で楽に走れるのかを考えて取り組むようにしていますね。高校時代はこの意識づけによって800も走れていたと感じています。練習メニューの中では500m以上の距離を走ることはありませんでしたが、楽な走りを意識して練習に取り組むことで800mでも結果が残せたと思います。
また、何事にも意味があると考えています。だからこそ何についてもチャレンジしています。人に言われたことは一度は挑戦するようにしていますね。

短距離に所属していた丸尾選手ですが、なぜ中距離に転向したのですか?

小学校では100mをやっていました。小学校6年生のころ、新しく陸上を始めた子たちにどんどん抜かされて行って正直短距離に限界を感じていました。自分が勝負できるのは何だろうか、中学に上がって以降も勝負していくことを考えて400mを意識した練習を始めていました。中学校に上がると400mに本格的に取り組み、小学校から400を意識した練習をしてきた甲斐あってすぐに記録は伸びていきました。それでも中2になってしばらくすると自分にはかなわないと思うような選手が現れてきて、頂点に立つことはできませんでした。頂点に立つためには、その結果マイルで勝負することを考えました。高校ではリレーをするために姫路商業へ進学しました。800mは、400でスランプに陥った時に顧問の先生がアドバイスをくれたのがきっかけで取り組みました。すぐに結果が出て高1の県ユースでは4位の成績を出すことができ400でも結果が出るようになりました。それ以降はマイルに専念するようになり、県総体で1位になれたことは本当にうれしかったです。それでも、高校で1位をとったのはリレーであって個人ではない、という思いがどこかにありました。個人でトップに立ちたい、そう考えたとき自分が取り組むのは400ではなく800だと感じました。800でトップになりたい、そうした思いから大学では中距離に取り組んでいます。

自分を客観的に見つめられることが生み出した強さ。目標がはっきりとあるから頑張れるのだ。

一番印象に残っている試合は何ですか?

高校総体で1位になったことです。親や恩師に今までの自分の努力が証明できたと感じました。素直にうれしく陸上をしていてよかったと感じました。この経験が大学でも陸上を続ける理由になっています。

丸尾選手の今後の展望とは

今後の目標を教えてください

どんな形であれ1位をとることです。インカレでなくてもいいから個人で1位になりたいと思います。順位にこだわって走り続けたいです。

INTERVIEWEE

丸尾和誠(まるお かずあき)

丸尾和誠(まるお かずあき)

和歌山大学経済学部
1999年5月11日生まれ。
姫路商業高校卒業後、和歌山大学経済学部に入学し、現在3年生。
専門種目は400m(PBは49“03)と800m(PBは1‘54”70)。
主な成績として全国中学総体400m出場、兵庫高校総体4×400mR優勝、近畿高校総体同種目第3位、全国高校総体同種目出場などがある。

WRITER

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田中寛子

2000年2月9日兵庫県出身。PBは400m57"32・800m2'12"08。 須磨学園高校時代800m近畿ユース第3位、日本ユース出場。大阪市立大学へ進み、800m関西新人優勝