挫折をバネに憧れの箱根路へ  中央学院大学 安達奈央人

挫折をバネに憧れの箱根路へ 中央学院大学 安達奈央人

2024.12.24
2024.12.24
インタビュー

小学校3年生の頃、お母さんから誘われ陸上クラブの見学へ。箱根駅伝を幼い頃から見ていたこともあり、長距離を始めたという安達さん。中学校に入学後も長距離を取り組んでいた中、同県出身の竹石尚人さん(元 青山学院大学)が鶴崎工業高校へ行っていたことに憧れを抱き、一般入試で合格し、進学。高校1.2年生の頃は思うような結果を残せずにいたが、3年生になり記録が伸び、中央学院大学から推薦を頂き、進学を決めた。

 選手からマネージャーへ

入学した当初は順調に走れていましたが、1年生の6月頃からアキレス腱痛に悩まされ、走れない日々が続きました。“なぜ自分だけ走れないのか”と自分を責めることも多く、陸上競技を辞めようと思ったこともありました。

そんな中、1年生の3月頃に、家族や高校の監督の元へ帰り、自分と向き合う時間を頂きました。その際に高校の監督からの「ここで陸上競技を辞めるのは勿体ない」という言葉や両親からの「自分のやりたいことを優先し、どんな形でも駅伝部に関わり続け、箱根駅伝を目指して欲しい」という愛ある言葉に救われ、選手ではなく、マネージャーとしてチームに貢献することを決めました。

 マネージャーになって

最初は、活躍している選手を羨ましく思う気持ちや自分に情けなさを感じることがありました。その上、2年生の11月から主務を任せて頂き、不安やプレッシャーを感じることも多くありました。しかし、監督と選手の間に立つ立場として、“言われる前に行動し、言われたらすぐに行動へ移す”ことを心がけ、笑顔を絶やさず、そして選手とのコミュニケーションを大切にしながら仕事と向き合いました。

日々大変なことや辛いこともありますが、“箱根駅伝への情熱”“チームの目標を一緒に達成したい”という強い思いが私を支えてくれました。

 悔しさから得た気づき

大学2年生で初めてマネージャーになって迎えた箱根駅伝予選会では本戦出場の切符を逃してしまいました。その際、関東学連連合チームの運営管理車に乗る機会を頂き、貴重な経験となりましたが、自分の大学の運営管理車に乗れなかった悔しさを何よりも感じました。そして今年の箱根駅伝では夢であった箱根路を中央学院大学の運営管理車で走ることができました。選手の走る姿を間近で見られた時の感動は一生の思い出です。

 選手が自分の支え

選手たちが良い記録を残してくれる時、マネージャーの仕事を手伝ってくれる時、そして「ありがとう」と声をかけてくれる何気ない優しさが私にとって頑張る源です。

  

チームと同期の絆

私たちのチームは学年を超えて仲が良く、冗談を言い合ったり、一緒に食事をしたりと和気藹々とした雰囲気です。同期も個性豊かで面白く、時にはまとまりがなく不安を感じることもありますが、試合では全員が一致団結し、声を掛け合う姿に胸が熱くなります。この仲間たちと過ごす時間はかけがえのない宝物です。

  

もし箱根を走れるなら・・・

ずっと自分の憧れで、高校に入るきっかけを下さった方が竹石尚人さんでした。

そのため、竹石さんが活躍されていた5区に憧れがあります。

 感謝をしている“監督”

陸上競技を辞めようか悩んでいた時に、自分を見つめ直す時間を与えてくれたこと、そして、マネージャーとしての道、チャンスを与えてくれたのが監督でした。今も選手の頃と変わらずに夢へ向かって頑張ることができているのは監督のおかげです。

 最後の箱根駅伝

選手の状態も上がってきていますが、直前の体調不良の面に関しては不安を抱えています。この調子のまま、万全な状態で当日を迎えたいです。

主務として迎える最後の箱根駅伝なので、5位を目指すマネージャーとして選手たちと一緒に頑張りたいです。

 監督・選手へ

監督は来年、監督就任40周年を迎えます。

節目の年になると思うので、節目に相応しい走り、そして歴史に残るような走りができるように、サポートを頑張ります。

選手には選ばれたからには自信を持って、自分の走りをしてきて欲しいです。

 箱根駅伝が終わったら・・・

同期のマネージャーの岡田とヨーロッパ旅行に行く計画を立てています。

自分と同じように選手からマネージャーになり、同じ辛さを味わってきました。今までお互いを支え合い、私自身彼がいたからこそここまで頑張ることができています。良い形で私たちの箱根駅伝を終えたいです。

 陸上競技とは“人生”

小学校の頃から陸上競技を始め、今でも変わらず箱根駅伝を目指してここまで頑張ってきました。

今までの競技人生を振り返ると良いことばかりではありませんでした。しかし、走ることが全てではないということ、そして走っていることでは学べなかったサポートすることの素晴らしさを学ぶことができ、マネージャーになったことは後悔していません。陸上競技を通じて沢山の経験をさせて頂き、陸上競技は私にとって“人生”そのものです。

人生には良いことも悪いこともありますが、逃げずに向き合い努力を続ければ、すべてが意味のある経験になると感じています。自分を信じること、そして挑戦する心を忘れないでいてほしいです。

INTERVIEWEE

 安達奈央人

安達奈央人

中央学院大学 駅伝部 主務
中央学院大学 駅伝部 主務
大分県 鶴崎工高校 出身

WRITER

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熊谷遥未

2001年11月16日東京都出身。田園調布学園を経て法政大学に進学。2023年の日本選手権では、女子400m決勝進出という実績を持つ。自己ベストは400m54.64(2024年8月現在)。現在は、青森県スポーツ協会所属の陸上選手として活動する傍ら、2024年9月より陸上メディア・リクゲキの編集長を務める。