【本来のスポーツの姿を求めて】勝つことを目指すことが苦しいと思うようになった走高跳の新たな挑戦

【本来のスポーツの姿を求めて】勝つことを目指すことが苦しいと思うようになった走高跳の新たな挑戦

2023.07.19
2023.07.19
インタビュー

最近、SNSのタイムラインを見ていると「ショッピングモール内の走り高跳び大会で陸上競技の魅力を届けたい!」という投稿を見つけました。

その投稿主は蛭子屋雄一さん。プロフィールを見ると走高跳選手でした。

陸上競技の盛り上げに資する活動をされている方を見つけた私はいてもたってもいられず、蛭子屋さんに経歴を伺いました。

陸上は好きでも嫌いでもなかった。けれど「走高跳」は大好きだった

私は中学校の時に親友に誘われて陸上部に入りました。陸上競技自体は好きでも嫌いでもなく、、、ただ、走高跳は大好きでした。
「好き」という気持ちだけでしたが、高校2年あたりから結果が実り県大会に出場することができました。

高校3年生の時に家族の転勤で福岡に引っ越しをすることになりましたが、陸上を始めるきっかけとなった親友と「山梨IH」での再会に向けて、練習できうる時間の全てを陸上競技に捧げました。

その結果、IHに出場でき、「勝ち負け」の面白さを学びました

その後、中京大学に進学し、恩師と呼べる「最高のコーチ」と巡り合い、科学ベースで一から身体と技術を作り上げた結果、全国で通用する結果を出せるレベルまで成長することができました。

その後、スポーツをすることで得られる人間形成に関心を持ち、スポーツを支える立場として仕組みを作りたいと思うようになりました。

漫画の真似をルーティンにして120%の力を発揮

私の走高跳の自己ベスト2m21を出したのは、2019年の日本インカレでした。

全力で跳躍を愉しみ、当日も応援を力に変え、いつも練習でやっていた跳び終わった後に漫画「ワンピース」のキャラクターの真似をを全国の舞台でもいつも通り行ったことで120%の力が出せました。 どんなに厳しい練習も全てが愉しかったです。

また、「後輩に恵まれていたこと」も自己ベストの所以の一つだと思います。

自分が勝つことを目指すことが苦しいと思うように。ただ環境を作ることはできる。

大学は陸上が『好き』でしたが、誤解を恐れずに言うと実業団で陸上が『嫌い』になりました。

勝つことだけを目指すことがこんなにも苦しいものなんだと痛感しました。
価値を追い求めることがしんどくなり、もう今では記憶から消えつつあります(笑)

その後は実業団チームを退社し、アルバイトで食い繋ぎ陸上を継続しましたが、昔のように「好き」には戻れませんでした。

そして、今年5月。自分の心に決心がつき、学生時代より思い描いた「世界で戦う選手になる夢」を諦めました。
覚悟ある決断でした。

その背景に、私は陸上界だけではなくスポーツ界の現状に疑念を抱きもっと少年少女が夢を追いやすい環境、中堅選手が苦しい思いをしないためにもしっかり土台を作りたいと思い、起業することを決意しました。

現在は、個人事業主としてイベント事業・NFT事業・タレント・SNS活動に向けて自力を上げる期間にしています。

様々なことをしますが、根底に「スポーツ・陸上界を盛り上げる」というものがあります。
いずれは民間のスポーツ施設を全国でかまえ、私や他の方々が好き勝手暴れ回れる環境を作ります。そこで利権が一切無く、老若男女・障がいの有無を問わず参加できるスポーツイベントを開催します。

読者に伝えたい「本来のスポーツの姿」

大学院時代に感銘を受けたエピソードがあります。

私が研究室でお世話になっていた教授が、中学生に向けて2コマの授業を行いました。 その時に行ったことが、体育館にあるものを使い新しくスポーツを創造するものでした。

誰もが楽しめるルールを、生徒が小グループ毎に考案し、最後に発表する形式でした。 授業最初は少し座学を行い、その時にスポーツ(体育)が嫌いと言っていた生徒がたくさんいましたが、授業終盤になるとみんな楽しい楽しいとクラスメイトが考えたスポーツに熱中していました。

その空間が本当に感動的で、これが本来のスポーツだと確信しました。
現在の競技スポーツの面白味も十分理解していますが、私はこの経験から日本が生涯スポーツを 全力でエンジョイできる国にしたいと思いました。

私は今後、社会性や人間性を自然に身につく世の中を目指します。

カネや政治が一切関わらない、オリンピックの意思を繋ぐスポーツイベントを創造します。

INTERVIEWEE

蛭子屋雄一

蛭子屋雄一

埼玉陸協
1996年5月2日生まれ。
高宮中学校、福翔高校、中京大学を経て中京大学院へ進学。   
専門種目は走高跳。自己ベストは2m21。
主な成績として、日本選手権8位、日本インカレ優勝がある。

WRITER

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佐藤 玄主

1999年11月20日 兵庫県芦屋市出身。市尼崎高校出身。 毎年1月10日に兵庫県西宮神社で行われる「開門神事福男選び」において1番福を獲得。 現在は、株式会社オマツリジャパンで祭りを活用したコンテンツ造成や企業プロモーションに傍ら、リクゲキの運営に取り組む。