日本代表選手も大絶賛の「FASTRun」社長に突撃インタビュー!

「高校球児50m走5秒6問題」に終止符を打つ計測機器を知ってますか!?少し前の話ですが、甲子園の時期になると出てくる「俊足巧打の〇〇選手、50m5秒6!」等という新聞記事。陸上競技をやっていた身からすれば、「100m10秒02の朝原選手でも5秒75なんですけど、、、5秒6とか半端ないってぇ!(嘘やろ!)」などと思ってしまうわけです。でも、原因は簡単。ストップウォッチで動き出しからの計測をしているから。要するに、全く正確には測れてませんよ!ってことです。それに終止符を打ったのが冒頭の動画にもあるFASTRun-Rという計測機器です。

タイム計測機器「FASTRun-R」

この計測器はタイムを正確に測ることができ、しかも簡単に持ち運べることから多くの選手から大絶賛を受けています。2016年リオ五輪で銀メダルを獲得した男子400mリレーのメンバーもこの計測器を用いたバトン練習を積み重ね快挙を達成したとのこと。非常に信頼のある機器なわけです。さぞ有名な会社が作っているのかな?と思いきや、調べてみると「合同会社ワイワイファクトリー」で作られているということが発覚。これは!と直感そのままに経営者の方にインタビューさせていただきました!

インタビュー当日、予定通りにzoomを開いてみると、そこに現れたのは笑顔のステキな男女。実は、合同会社ワイワイファクトリーは夫婦経営の小さな会社だったのです。日本代表クラスの選手に選ばれている機器だけに、大会社の社長が登場するかと思いきや、とても小さな規模で活動されているとのこと。そんな会社の歴史とお二人の思いを紐解いていきましょう!

Q.FASTRunの始まりを教えてください。

私自身はスキーをやっていました。ずっとスキーをしていく中で正確なタイムを測りたいと思っていました。もともと電気回路のエンジニアだったので、自分で作っちゃおう!ということで2007年ごろに自分で作ってみました。そして市場にも出してみました。しかし、スキー場の特性として、寒かったり、雪で濡れてしまったりして壊れてしまうことが多かったのです。これでは使えないと思いながらも改良を重ねました。

Q.陸上競技での活用を考えたのはいつからですか?

スキー用のタイマーは温度、振動、雪、の三重苦があり、それをなんとか乗り越えて製品として世に出しました。ただ、競技スキーの市場は小さく、そんなに売れるものではありませんでした。そこで、陸上でも使ってもらえないかと、陸上用途のものに設計変更したのがFASTRunです。スキーで苦しんだ分、品質的には良いものに仕上がりました。

最初の注文は、大阪の私立高校陸上部でした。その高校から「ラップを測りたい」などの要望を受け、さらに改良することができました。それがFASTRun-Rでした。

Q.FASTRunが日本代表でも使われるきっかけとなる出来事があったのですか?

東海大学陸上競技部監督 高野進先生と

最初に受注してから5年ほど経った2015年、合同会社ワイワイファクトリーをスタートしました。そんな矢先に、沖縄県の陸上クラブの指導者の方が大変気に入ってくださり、大々的に計測機器を使っていただけることになりました。そして、沖縄県で日本代表合宿が開催された際に、FASTRunが日本代表のコーチの目に止まり、日本代表でも使っていただけることになりました。その流れで、日本スプリント学会でも紹介させていただけました。東海大学陸上部監督の高野先生にも気に入っていただくこともできました。それらのことがきっかけでしたね。

Q.2016年のオリンピック銀メダルに貢献したと聞きましたが、、、

やはり日本代表で使ってもらえたのは良いことで、それをきっかけに年々、広がっていきました。コーチをつけずに1人で練習している選手にとってもFASTRunは有効で、1人でもタイムの計測が可能です。しかも、他のどの会社の計測器よりも軽く、持ち運びも簡単です。世界大会にも持っていくのも簡単で、それきっかけで他国からの購入希望もありました。そうして、国内のみならず、国外にも広がりつつあります。2016年のリオ五輪での銀メダル獲得後、テレビにFASTRunが映り込むこともあり、そこで完全にスイッチが入ったように思います。使ってくださる選手も増え、選手たちにも愛着が湧きました。なので、試合の応援に行くこともあって、とても楽しいですね。

Q.FASTRunの良さは?

カバン一つで持ち運び可能な手軽さが売り

FASTRunの良さはとにかく手軽なことでしょう。光電管による計測だと持ち運ぶ機械や、グラウンドに設置する三脚の数も増えますので大変です。FASTRunはそれが少なくてすみます。そのことから、値段も安く、他のメーカーの3分の1くらいの値段ではないでしょうか。光電管による計測ですと手でビームを切って大きな誤差になってしまうことがありますが、FASTRunだと計測の仕組みによってトルソー(胴体)で正確なタイムを測ることができます。日本代表のコーチから聞いたところ、海外に持っていって使うことを考えたときに、持ち運びをしやすく手軽だとも言っていただけました。そういったメリットもあり、陸上の名門大学ではかなり採用していただいています。一部の名門高校でも使っていただいており、ありがたい限りです。

Q.FASTRunの根本にある理念は?

測定機器の会社に勤めていたことから、「正しい測定に基づくからこそ科学の発展もしていく」という考えをもっています。計測に誤差があると、科学そのものの発展もうまくいかなくなるんです。正しい測定があるから発展があります。一つのアプリケーションとして、陸上界に貢献したいと思っています。

できる限り安く作って、皆さんに行き渡るようにしたいとも思っています。現在は、妻が配線などを手作りで組み上げてくれています。実は妻が社長でもあります。私は他の会社の経営もしているのでこちらは妻に任せています。私自身は設計を担当しています。

Q.これからの展望を教えてください

先日、行われた織田記念陸上の上位に入った選手たちも使ってくれている方が多かったですが、海外にも売っていけたらと思っています。実は、世界レベルの海外選手にも少しずつ使っていただいていて、さらに増やしていけたらとは思っています。また、陸上選手だけでなく、球技の人でも使ってくださっています。私学の野球名門校や、社会人の強豪野球チームでも使ってもらえています。野球、サッカーのスプリント能力を測ったりするには最適なものだと思っています。そちら方面にもどんどん広めていきたいですね。

ユーザーの指導者からは、「正確なタイムを測ることで選手のモチベーションが上がった」「子どもたちが最後までより真剣に走るようになった」「正確なデータを集めることができた」など嬉しいお声をいただいています。スポーツをやっている人たちはみんな頑張っていて、「あの人に勝ちたい!」とか思っています。だからこそ、裾野の人にももっと有意義なデータを提供し、効率的な練習をするお手伝いをできればと思っています。

編集後記

取材を終えてから、東京オリンピックの選考会でもある日本選手権が行われました。そして、その注目種目の一つである男子100mの上位選手の多くがFASTRunのユーザーでした。やはり正確なタイムを測定し、それに基づいたフィードバックをしていくことで、より効率的な練習が積める事は間違いないと確信をしました。それだけに、今後、より合理的で効率的な練習をし、ベスト記録を狙っていくためには、このツールを使わない手はないなと感じました。



合同会社ワイワイファクトリー

担当:柳本
お問い合わせメールアドレス:info@yy-factory.com

 

信田 雄一郎

信田 雄一郎リクゲキ編集部長

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1987年3月14日生 愛知県出身。陸上競技をこよなく愛し、同志社大学卒業後、陸上競技部の顧問になるために教職の道へ。球技系部活動の顧問をしながら、陸上競技のパーソナルコーチも務めていた。現在は、陸上競技メディア制作の他、コーチングや教育業にも没頭中。今後はマスターズ陸上に挑戦予定。

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