「私、リクゲキのファンなんです」と突然声をかけられた5月。
実は、私が所属する陸上チーム「ELITE(兵庫県伊丹市)」はかけっこ教室をメインとしており、声の主はその生徒さんである小林流歌選手でした。
今年の4月に行われた兵庫リレーカーニバルで、ELITEが優勝した際の記事を見たことがファンになったきっかけということで、その場で「今年全中(全国中学総体)の出場権を獲得したらリクゲキで取材するよ」という約束をし、見事に条件をクリアしてくれたので今回取材をすることになりました。
小林選手の全中を突破するまでの軌跡をまとめているので、今後全中を目指す中学生にとっての参考にしてほしいと考えています。
記録が伸び悩んだことをきっかけに「日本一のコーチ」と出会う
私は幼少期から、走りことが大好きでした。小学生の頃から陸上を始め、中学校に進学後も順調に記録が伸びていましたが、中学2年生の時に走りが上手く噛み合わず、タイムが落ちてしまいました。
なんとかしたい。そんなときに、地元で陸上教室を展開するELITEの存在を知りました。
当時、ELITEには中学生のクラスがなかったのですが、コーチの野川さんに直談判をし、想いが通じて中学生クラスを新しく設置してもらいました。
ELITE 野川大地コーチについて
福島県出身。城西大学を経て住友電工に就職したのち、2021年に独立。一般社団法人ELITEの代表理事を務める。100m自己ベスト10.32。
コーチも唸る、高いポテンシャル
野川コーチ:小林さんと出会った時、タイムが落ちていると聞いていたので「その中でどのような動きをするか」と気になっていました。初めて走りを見た時、キック動作の強さによる推進力が凄いなということはすぐに分かりました。見るからにポテンシャルの塊で、これは伸ばし甲斐があるなと。
本人の性格は、トレーニングのスイッチが入ると歯止めが効かず、身体を痛めつけてしまう傾向にあるのと、スイッチを入れるのに少々手を焼く選手なのでその点を意識しながらトレーニングメニュー構成、声の掛け方など工夫しています。
特に歯止めが効かないときは身体が痛いのを隠しながらトレーニングを続行したりするので、少しの動きの変化も見逃さず強制的に練習を辞めさせることもしばしば。
「身体のここら辺痛いでしょ?」の問いに、本人からの回答で少しの間があったり、答えを濁したり、いつもと違う答えが返ってきたりする等、私は見逃さないので、我ながら相当神経を研ぎ澄ませているなと感じます(笑)
全中の切符を掴んだのは自分だけの力ではない
中学校の部活の練習メニューと、野川コーチによる技術的な指導のおかげで、得意な後半を伸ばし、苦手な前半も改善をすることができ、その結果として無事に全中の出場権を獲得しましたが、その背景に自分自身が練習を頑張ったことも大きいですが、最も大きいのは「周りの支え」です。
ゆりのき台中学校の顧問の梅本先生の熱心な指導。
切磋琢磨している仲間たち。
そして、ELITEの野川コーチには、調子があまり良くなかった自分をここまで伸ばし、成長させてくれて、走り方の分析、アドバイスなど、、感謝の言葉を伝えても伝えても足りないくらい感謝してます。
その全てが、自信を持って試合に挑む後押しになりました。
全中の出場権は「みんなで掴んだ」と言っても過言ではありません。
野川コーチ:全中を決めた瞬間は、本当に感動しました。
本人は「全中に行く!」と出会った当初からずっと言い続けていたので、その思いと普段の努力している姿が重なり、大会の審判役員をしながら嬉し涙を堪えていました(笑)
また、私自身の目標として今年は全国大会レベルの選手を必ず輩出すると心に決めていたので自分自身との戦いに勝利した瞬間でもあったなと感じています。
小林選手の走りは荒削り。伸び代たっぷりで楽しみな選手
野川コーチ:全国大会レベルまで順調に成長してきましたが、私からすると荒削りな部分が多いです。
中学生ですから当然の事ですが、まだまだ発展途上の選手でこれからが楽しみだと感じます。
特にキック動作の強さ、足首の硬さから出るトップスピードはシニア世代まで相当な武器になると確信しています。
現在は筋力トレーニングや、走りのテクニック練習も中学生レベルに合わせてメニューを組んでいるので、今後本格的にウエイトトレーニング、ハイレベルなスプリントトレーニングを導入するとまだまだ記録は伸び続けると思います。
100m11秒台は若いうちに軽く突破してもらって、11秒8台、7台、6台、5台、インターハイ、日本インカレ、グランプリ大会、日本選手権までのレールに乗って、是非師を超えてほしいですね。
初の全国大会で目指すは決勝の舞台
初の全中の目標は、A決勝進出。最低でもB決勝へ。結果に拘りながらも、楽しみながら走れることに感謝してスタートラインに立ちたいと思います。初の全国大会なので楽しみながらもいい結果を残したいです。
中学卒業後も陸上は続け、高校生では全国インターハイに出場することを目標としています。
私自身、きつい練習とかとても苦手だし、あまり好きではないですが、諦めず自分を追い込めるところまで追い込むことで試合での自分の自信になっています。これから全中を目指す後輩たちにも頑張って欲しいです。